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―夢の中―
ハキ「ゥ…ァ……、熱…イ…熱イ……灼(ヤ)ケ…ル…躰(カラダ)ガ…咽ガ…灼ケル………水……誰カ…水ヲ…水ヲ…ク…レ……ミ…ズ…」
(うなされたように)
彼は目を覚ました
見知らぬ少女に見守られていた
ハキ「ゥ…オマ…エ…ハ……」
エリ「もう大丈夫…だから、安心して寝ていていいの…」
ハキ「オ前ハ…」
エリ「(鼻唄)」
ハキ「………」
その子守唄に包まれ、彼は眠った
エリ「(鼻唄)」
―そして数刻もの時が経ち
アレ「………」
目を覚ますと目の前に少女がいたが、彼が気がつくと同時に逃げてしまった。
ハキ「今のハ…………。ココは…ドこダ………」
(意識が朦朧と)
ハキ「私ハ…何を…何故…私ハ…コンなとこロニ…。…グァッ!!?」
(最後は痛みに苦しむように)
ハキ「ッ…ゥ…何…だ…躰ガ……躰ガ…砕ケ…ル……」
エリ「あっ、まだ動いちゃ駄目です!」
ハキ「ク……?」
エリ「ひどい怪我をしてるんです。だからまだ動いちゃ駄目です」
ハキ(心)「こ…の娘…ハ…?」
エリ「あの…、あの、気分の方はどうですか?」
ハキ「こ……コこ…は…オまエ…は…」
エリ「え?あ、わ…わたし、エリっていいます」
ハキ「える…ル…」
エリ「それで、ここはわたしのお家で…。覚えてますか?あなたは森で倒れてたんです。見つけたときは、ひどい怪我してて…」
ハキ「タオ…レ…?」
エリ「でも、気がついてよかった。もう三日間も目を覚まさなくて、本当に危なかったんですよ。あっ、今はもう大丈夫です。峠を越したって、おばあちゃん言ってたから」
ハキ「自分…ガ…」
エリ「それじゃあ、包帯と薬を取り替えますね」
そう言って、エリは作業を始めた
エリ「あ、傷口を洗いますから、ちょっと沁みますね」
ハキ「ッ…」
そうしてエリの慣れた手付きによる手当ては終わり
エリ「…ふぅ…あとは薬を…これとこれを………っと、これでよしっと。ハイ、終わりました。何があったのか知りませんけど、もう大丈夫ですから」
ハキ「…ぁ……」
エリ「はい?」
ハキ「ありガ…トう……」
エリ「あ…いいえ、どういたしまして」
ハキ「……」
エリ「あの、もしも…ぁ……お休みなさい…」
ハキ「おやすみなさい………」
(安心した感じで)
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