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【偲視線】
千尋は俺の可愛い可愛い妹みたいな女の子。
勿論妹だとも思っているが、それ以上に可愛い。
昔は、あのサラサラの髪を結ってやるのが日課でリボンで結ぶと人形の様に愛らしかった。
そして中身はとても謙虚。
きっかけは確か………
物心ついた頃から千尋の両親は出かけるのが好きで、千尋はそれとなく我慢するのを覚えたのか彼女の両親が出かける時でも千尋は笑顔を向けていた。
その夜家に泊まった千尋は居間で寝ていた。
僕と奏は千尋の様子が気になり夜中居間に近づくと蒲団の上で泣いている千尋を見つけた。
千尋は何も言わなかった。
寂しいのだと
置いていかれるのは嫌なのだと
子供ならば許されるであろうはずの言葉を両親の前で口にする事はなくとも
彼女はやはり寂しいのだ
あの瞬間から千尋は僕にとって特別な女の子になっていた
彼女の為にしてあげれることは全部したい
どんな細やかな事でも
喜んでくれる顔が見たい
笑ってくれる顔が見たい
千尋の寂しい顔も泣いた顔も僕はもう見たく無いんだ。
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