28人が本棚に入れています
本棚に追加
【千尋視線】
千尋
「――――…」
奏
「千尋、ねぶり箸。」
千尋
「―え?…あ、ごめんなさい。」
偲
「千尋が食事中に、ぼうっとしているのなんて珍しいね。」
千尋
「―――そう?」
奏
「いいじゃないか、たまには。
静かに食事出来る。」
千尋
「どういう意味よ。」
奏
「言葉通りだけど?」
偲
「こら、奏。緑色野菜を箸で退けない。
ホウレン草と小松菜、全部食べるまで席を立つなよ。」
奏
「――――…」
千尋
「奏の緑色野菜嫌いも相当よね。
こんなに美味しいのにどうして嫌いなのかしら?」
奏
「食べたいなら千尋にやるよ」
偲
「こらこらこら……」
確かに食事中、公園で会った男の人のことが頭に浮かんでいた。
初めて会ったはずなのに初めて会った気がしないなんて。
………何処かで会ってる?
けど……思い出せない、何も。
不思議な人……。
また公園に行けば会えるのかしら……?
奏
「千尋、人参残すな」
千尋
「奏こそ、小松菜残ってる」
偲
「……二人共好き嫌いしない。」
最初のコメントを投稿しよう!