追憶

12/27
前へ
/50ページ
次へ
【千尋視線】 千尋 「――――…」 奏 「千尋、ねぶり箸。」 千尋 「―え?…あ、ごめんなさい。」 偲 「千尋が食事中に、ぼうっとしているのなんて珍しいね。」 千尋 「―――そう?」 奏 「いいじゃないか、たまには。 静かに食事出来る。」 千尋 「どういう意味よ。」 奏 「言葉通りだけど?」 偲 「こら、奏。緑色野菜を箸で退けない。 ホウレン草と小松菜、全部食べるまで席を立つなよ。」 奏 「――――…」 千尋 「奏の緑色野菜嫌いも相当よね。 こんなに美味しいのにどうして嫌いなのかしら?」 奏 「食べたいなら千尋にやるよ」 偲 「こらこらこら……」 確かに食事中、公園で会った男の人のことが頭に浮かんでいた。 初めて会ったはずなのに初めて会った気がしないなんて。 ………何処かで会ってる? けど……思い出せない、何も。 不思議な人……。 また公園に行けば会えるのかしら……? 奏 「千尋、人参残すな」 千尋 「奏こそ、小松菜残ってる」 偲 「……二人共好き嫌いしない。」
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加