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それから幾日立った頃、星奏学院の入学式の日――
奏
「千尋、ハンカチ、上履き、後、鞄。バイオリンケース。」
千尋
「全部持ってるわよ。
というか、どうして奏が聞くのよ?
それに棒読みだし……
偲ちゃんは?どうしたの?」
奏は嫌味たらしくため息をついて玄関で靴をはきかえている。
奏
「……カメラ。」
言葉を離すのも面倒なのかただ一言そう呟いた。
千尋
「……写真部なの?偲ちゃん……」
そしてまた盛大にため息。
奏
「…………さあね……?
………さっさと行かないと遅刻するよ」
そう言って自分は先に家を出てしまう奏
千尋
「えっ――…ま、待ってよ奏!」
朝からなんだか不機嫌な奏。
また一緒に学校に行けるのは嬉しいけど、変なの…
偲ちゃん、毎朝送り迎えしてくれたのに………
どうしたのかしら……?
学校に行く道中、私は奏に話し掛けていたけど…「ああ」とか「ふうん」しか言わない奏の慣れた返事に聞いてくれるだけまだいい気がしていた。
奏ってば学校でもこんな感じなのかしら……?
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