追憶

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偲 「千尋、今日もバイオリンの練習するの? 折角の休みだし、入学式まで時間あるなら… たまには俺と繁華街ショッピングとか☆」 千尋 「ショッピングかあ…」 行きたくない訳でない。 私も女の子、甘いものやお洋服や小物も人並みには好きといっても過言じゃない。 奏 「―――…偲、紅茶。」 偲 「んあ? …はいはい、おかわりですねー。 家の弟は、どうしてこう口下手なのかしら… 僕の育て方の間違いか…?」 奏 「お前に育てられた覚えは全く無いよ。 …………くだらない」 千尋 「奏も行かない?ショッピング。」 奏 「人が多い所は嫌いだ。」 千尋 「―――……」 奏 「………千尋?」 千尋 「………え?何?」 少しボーッとしていた所為か。 覗き込んでくる奏の顔が近くにあり、急にそれが落胆とも言えない呆れた表情に変わる。 奏 「……寝るならベッドに行けよ」 千尋 「失礼ね……寝てないわよ」 偲 「でも、本当大丈夫~? 千尋は昔から熱ばっかり出してたからお兄ちゃんは今でも千尋が心配で心配で…」 千尋 「小学生の時の話よね? 螢が見たいって夜中に二人に裏森に連れてって貰ったの。 帰って熱を出した私を見て二人共泣きそうな顔してたわよね。」 奏 「――――…してない」 偲 「あの後、俺達玄関に正座させられて親父さんに三時間説教受けてたんだよね。 かなりスパイシーなお説教だったけど」 千尋 「私が起きた時は部屋の前で目を腫らした二人が眠ってたのよ。」 奏 「俺が起きた時には千尋父に向かって怒る千尋の姿があったけど…」
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