不慮の出来事

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不慮の出来事

   ここは、霧が多く立ち込めた、ボスン国へ続く一本道。 その道を、ある目的を持った10人程の人達が歩いている。 この星の戦乱を避ける為、メルバーン国のベンガー国王とエルザ王妃が、数人のお供を従えて、隣国のボスン国へ、同盟を結ぶ為、向かっていた。 ボスン国への道は細く、乗り物が使え無い為、険(けわ)しい山に囲まれた道を、一行は歩いている。 ベンガー国王は、国民の気持ちを知る為、他国の王のように派手に着飾るような事はせず、常に質素な服装をまとっていた。 又、王妃も国王と同じ思いで、国務や行事以外は、宝石など一切身に付け無かった。 ベンガー国王は、歩きながら横に並んで歩いているエルザ王妃に、話しかける。 「このような時代が来るとは、思いもしなかった。民が安心して暮らす為には、隣国と平和を結ぶ事が何よりも重要だ」 隣りを歩いているエルザ王妃は、ベンガー国王をちらっと見ると、にこやかに答える。 「そうですね。他国では頻繁(ひんぱん)に争いが起こり、夜も眠れ無い人達が大勢いると聞いています。今のメルバーン国が有るのは、あなたが苦労して、沢山の国と同盟を結んでくれたお陰です。私達は感謝しております」 国王と王妃と言うよりも、まるで仲の良い夫婦のようだ。 しばらくして、一行が進む道が少し細くなり、崖の上からポロポロと小石が音を立て落ちて来る… ボスン国王への、お土産を抱えたお供の一人が、ベンガー国王に注意を促した。  
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