002:逃走

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その集団のずっと先を、一人の青年が疾走していた。 脇に少年を抱えて。 彼の右手で怪しい光を放つ拳銃。 未だに硝煙を立ち上らせる銃身は、火傷しそうなほど熱い。 先程の男を撃ったのは、おそらくこの青年だと推測できる。 軽やかな足音が壁に反響していた。 もう、随分と走っているだろう。 彼の靴は泥で汚れていたが、その表情からは苦しさの欠片さえ見つからない。
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