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「待てっ!!」
後ろから追ってくる怒声と足音の洪水。
それに呼応するように、いくつもの銃声が辺りに木霊する。
青年は背後を一瞥して、口端を緩く吊り上げた。
かなり、余裕らしい。
微かな金属音と共にリヴォルヴァーを回し、銃口を後ろへ向けて素早く引き金を引いた。
一発。
二発…。
彼の銃が火を吹く度に、追ってきていた足音は着実に少なくなる。
しなやかで、無駄のない青年の動きが野生動物の獰猛さを思わせた。
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