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しばし路地の奥へ進んだところで、前方に停車している一台の車が目に付いた。
闇に浮かぶ純白の車体は、月明かりを反射しているように見え、雪の白に溶け込んでいた。
「もう安心だ。これがあれば逃げ切れる」
言葉が終わるか否や。
青年は少年を抱えたまま、助手席の開いている窓の中へ飛び込んだ。
なんという運動神経だろう。
運転席へ転がり込んで、慣れた手つきで鍵を差し込む。
エンジンがかかった。
「しっかり掴まっているんだ。でないと、車外に放り出されるよ」
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