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「君を探していた。…私と一緒に来てくれるかい?」
青年は歌うように言葉を紡ぐ。
刹那、少年の瞳の奥で光が揺れた。
肩を押し潰すような孤独感が徐々に取り払われていく。
「…どうして?」
困惑。
他人とどのように接すればいいのかわからなくて、出てきた言葉がそれだった。
「君を守りたい。…ただそれだけだ」
無表情であった青年の面に、微かにだが微笑みが浮かんだ。
思いがけない言葉に少年は目を見開く。
守りたい?
何故、見知らぬ者が自分を守りたいのか。
そして何故、自分なのか。
ありとあらゆる思いが頭の中を掻き毟り、少年を惑わせる。
が、少年は徐に頷いた。
自分の存在が初めて認められたのだとわかって。
be continue...
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