001:始マリ

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001:始マリ

人工物に覆われた地表に、夕陽が濃い影を落とす。 雪のように降り積もる孤独感と、死の淵に立たされたような絶望感の中に、少年は居た。 遠く続く鈍色のアスファルト。 走り出したい衝動に駆られたが、足は岩のごとく重い。 虚空を見つめるような瞳には、倦怠とした陰りがあるだけだった。 彼は自分を知らない。 この手足が。 この存在が。 何処でどうやって生まれたのかも知らない。 自分の存在が認められたこともなかった。 けれど本能的に、それは自分にとって一番良い事だと思っていた。
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