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張さんは俺の腕を掴み促した。
言われるまでもなく俺は階段を二段飛ばしくらいで駆け降りる。
一体何がどうしたというのだろうか?
俺の頭は完全にパニック状態に陥った。
ただとにかく危険だ、というサイレンが頭に鳴り響いている。
階段を降りきると大型のバイクが置いてあった。
「さあ!早く!」
張さんはヘルメットを俺に投げてくる。
その時遠くで銃声が聞こえた。
金髪が撃たれたのかもしれない。
俺は足がガタガタと震わせた。
張さんはいつの間にかライダースの革のつなぎを着ていた。
服の下に予め着ていたのであろう早業だ。
「彼なら大丈夫。さあ行くわよ」
どこへ?という質問をする時間はなさそうだ。
張さんは素早くバイクのエンジンをかける。
俺はただ恐怖でバイクの後部座席に跨がり、力強く張さんの腰回りに抱きついた。
バイクは急激に加速をし、俺は恐ろしくてぎゅっと目を固く瞑った。
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