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どこをどう通っているのか目を瞑っているから全くわからないが、俺を乗せたバイクは右へ左へと大きく車体が揺れながらけたたましいエンジン音を上げていた。 「さあ、これを」 張さんを言われようやく目を開けると、いつの間にか地上に上がり、公道を物凄い速度で疾走していた。 張さんは俺の手に何やら金属を握らせる。 なかば予想していたが、それは紛れもなくピストルであった。 「奴らはすぐに来るわ。それで追い返してあげて」 張さんは俺の顔を見ながらヘルメット越しに軽く笑うと更に速度をあげた。 「追い返してあげて」とか気取った言い回しで言われても困る!! 普通のサラリーマンである俺は、当たり前だがピストルを撃った経験はない。 初体験の上、こんな高速に飛ばしたバイクの後部座席でピストルが撃てようはずもない。 何がなんだかわからない状況で俺は追っ手が来ないことを切に願った。
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