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張さんは信号など一切無視をし、交差点を突っ切る。
ゆうに百キロを越える速度で走りながら、張さんは車と車の間を悠然と縫うように掻い潜る。
突然現れた暴走バイクに車はクラクションを鳴らしまくり、そのたびに俺は寿命を月単位で縮めていった。
これだけ無茶をすれば追っ手もついてこれまい、と思うのは一般的なサラリーマンの考えることであり、先ほどのサングラス集団はいつの間にかバイクで接近しつつあった。
むしろこれだけ公道をパニックにさせていれば、追っ手もどちらに逃げているのか教えてるようなもんだ。
サングラス集団はこちらを見つけるとお構いなしに発砲を開始した。
どうあっても彼らは我々を殺したいという意思はよく伝わってきた。
俺の人生でここまで他人に殺意を抱かれたのは初めてである。
軽い気持ちで手を出してしまった後に付き合うことは出来ない、と邪険に扱ってしまった桂子ちゃんですらここまでの殺意を俺に向けてくることはなかった。
せいぜい本を投げつけられたくらいである。
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