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バイクが走っているのはいつもの見慣れた町の風景だ。
その見慣れた景色の中で俺はひどく現実離れした世界にいた。
このまま殺されるのか、と急に現実的に恐怖を感じた。
「右に曲がって!!」
死を覚悟しかけて俺は突如閃いた。どうせ死ぬなら一か八かだ。
俺の閃きを張さんに伝えると張さんは小さく頷いた。
俺のナビゲーションで張さんは目的地へと向かう。
頼む!
どうかうまくいってくれ!!
張さんの運転はタイヤが地面に張り付いたかの様に安定して滑らかに走る。
しかしサングラス軍団もぴたりとついてくる。
山を登る坂道の途中にある大学の東門付近に到着した。
俺たちは大学の構内に入る振りをして坂道を一気に登り始める。
予め話し合っていた通り、追っ手の連中たちも大学の構内に入る坂を上り始めた瞬間、坂の頂上付近で張さんは坂を飛び降りた。
この大学の構内に向かう坂道にはガードレールがなく、飛び降りられる構造になっていた。
公道では安全面から考えてまずあり得ない構造だろう。
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