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不思議なものでホチキスの最後の針というのは何となくわかる。
手応えでなんとなく今ので最後だな、と。
俺はホチキスを開けて針の残量を念のため確認した。
俺の予想通り針はちょうどなくなっている。
どうということない話ではあるが、なんとなく当たっていたことに嬉しくなる。
そんなちっぽけな嬉しさを感じた時、俺は自分自身が小さい人間だな、と感じる。
しかしそれは同年代の人間がIT社長になり年収百億円というニュースを聞いたとき感じるような陰湿な、惨めったらしい「小さい人間」ではない。
なんとなく自分が愛らしく感じる小ささだ。
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