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何をどうしたらいいか、と策もなく優柔不断に悩むのは俺だけらしく、この現実感を失った俺のまわりの世界はさらに加速して迷走していくようだった。 心眼の会の支部教会に暴漢が襲撃したという情報はその日の夜に飛び込んできた。 敵の襲撃は予め想定されていたのか桐谷さんら心眼の会の信者らは各々ピストルや刃物を素早く準備し、戦闘に備えた。 しかし襲撃された箇所は意外だったらしく、警備が手薄だったと見え、桐谷さんは被害状況の確認などを慌ただしく行っていた。 「真空様…」 桐谷さんが潤んだ目でこちらを見てくる。 先ほどまでのきびきびした態度からは想像できないような狼狽えた顔。 あまりの変わりぶりになんだか演技なんではないかと穿った感情が芽生える。 行かないよ、俺、行かないよ。 「御武運をお祈りしております」 はい、俺選抜メンバー入り決定済み。 まあそりゃそうか… こんなとき働かなかったら俺は本当にただ飯喰らいだもんな。 しかし俺にも秘策はあった。 このままただ飯喰らいの座にしがみつく作戦が。 「桐谷さんは相手の作戦に気付いていないのか?」 「作戦、ですか?」 「敵はなぜ警備が手薄になる小さな教会を狙ったのか?」 桐谷さんは俺の言葉を脳内で反芻するように考え、はっと目を見開いた。 「…そう。相手の狙いはこの本殿ならびに恐らくは教祖九十九」 俺の言葉を桐谷さんが引き継ぐ。 「しかしその本殿には…」 「そう、真空。つまりは俺がいる」
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