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レジを打ち終わると張さんは金額を告げる前に
「ゴ一緒ニカラアゲイカガデスカ?今ナラ一個増量中デス」
とマニュアルにあるであろう質問をして来た。
その時、急に俺は買わなくてはいけないものを買い忘れていることを思い出した。
「あ!それよりも香典袋置いてますか!?」
俺がそう言った瞬間であった。
それまで感情を全く出さず淡々としていた張さんがいきなり目を見開き、俺の顔を凝視する。
後ろでカップラーメンの補充をしていた金髪の男もレジに駆け寄ってきた。
「随分遅かったじゃないですか!今までどこいってたの!?」
急に張さんが流暢な日本語で俺を非難する。
「まあ、それは後だ!早く奥へ!!」
金髪野郎は俺の背中をグイッと押すと、張さんは華奢な体の割りに信じられないくらい強い力で俺の腕を引っ張った。
「そうね。さあ、早く」
俺は訳もわからずレジの奥の控え室の部屋になかば引きずり込まれるように入った。
まさかこっちの控え室に香典袋があるとも思えない。
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