―1―

17/19
前へ
/111ページ
次へ
朝とは違って、木陰は伸びていく。 辺りは橙色になっていく。 「で、ちゃんと猟は出来たの?」 いつの間にか本を閉じていた。 「うん。小動物しか居なかったけどね」 「動物を殺すのは、感心しないわ。生活の為なら仕方ないけれど」 猟師にそんな事、言わないで。 「アインは何してたの?」 「別に。家で本を読んでいただけだわ」 「楽しい?」 「いいえ。特別には」 何か、何とも言えない気分になる。 人間は、他人を理解出来ない事を痛感した。 「さて。私は夕食を作らなくてはいけないから、帰るわ」 アインが立つ。 俺も立って、歩いて行くアインを見た。 陰が森の中に出来るので、アインは森に入ろうとした。 「アイン。明日も来るの?」 面倒くさそうに振り返ってくれた。 「……ええ。」
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加