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朝とは違って、木陰は伸びていく。
辺りは橙色になっていく。
「で、ちゃんと猟は出来たの?」
いつの間にか本を閉じていた。
「うん。小動物しか居なかったけどね」
「動物を殺すのは、感心しないわ。生活の為なら仕方ないけれど」
猟師にそんな事、言わないで。
「アインは何してたの?」
「別に。家で本を読んでいただけだわ」
「楽しい?」
「いいえ。特別には」
何か、何とも言えない気分になる。
人間は、他人を理解出来ない事を痛感した。
「さて。私は夕食を作らなくてはいけないから、帰るわ」
アインが立つ。
俺も立って、歩いて行くアインを見た。
陰が森の中に出来るので、アインは森に入ろうとした。
「アイン。明日も来るの?」
面倒くさそうに振り返ってくれた。
「……ええ。」
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