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幸い、砕け散った石や弾の破片が誰かの目に入る、という事はなかった。 本当に幸いだ。 「何してんの?楽しそうだね。お兄さんも遊びに交ぜてよ」 凄い笑顔で子供に言い寄る俺。 猟銃は構えたまま。 呆然としていた子供達は、我に返って泣き叫びながら、家の集まる集落に走って行った。 それを鼻で笑って銃を下ろす。 「……危ないわね」 少女がぼそりと言った。 外国人かと思ったが、自然にこの地域の言葉で言った。 本をどけたその顔立ちは、この地域の人間の顔だ。 しかし、やはり髪は白いし、目も普通より赤っぽい茶色をしている。 本の表紙を払って傷を見ているようだ。 「何がしたいの」 ジロジロ見てたら、怒った調子で言われた。 「何だろうね」 本当に俺、何だろう。
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