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やられたら、やりかえせ。 私は父にそう教えられた。 だから私は、あの子を許すわけにはいかないのだ。 そもそも、許すという言葉を使うことには少し違和感がある。 怒りや憎しみは、大抵の場合は時と共に和らぎ、その感情は許しへと繋がっていく。 けれど、私のこの感情は、怒りや憎しみではあるが、そこに諦めが混じっている。 激情でない、静かな痛みは、きっとそう簡単には治らない。 私は、やりかえしたいのではなく、やりかえさねばならないのだ。
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