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「……………」
時間がのろのろと過ぎてゆく。
雲が静かに空を滑っていく。
私は、てっきりここには私一人しかいないと思っていた。
だから、誰かがふらりと私の前に現れたとき、私は心底驚いた。
「……………」
背の高い人影が、私の前に立つ。
……知らない奴。
最初に口を開いたのは、あっちだった。
「誰?」
素っ気ない言い方。
まるで、
興味がないかのような。
だから私も、必要最小限の単語で答えた。
「名波、涙」
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