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目の前に立っているのはどこからどう見ても熊なのだが、ただの熊とは違う。体調が三メートルもある巨大な熊だ。
「グァァァ!」
そう吠えた熊は腕を振りかぶり悠輝へと叩きつけた。
頭上から降りてくる腕を見ている悠輝は、不思議と心が穏やかだった。
(あぁ、死ぬんだな、俺。
なんかすげぇゆっくりに見える・・・。でも・・・いっか・・・)
そして悠輝はすべてを受け入れるように目を閉じた。
だがいつまで経っても自分が死んだ気がしない悠輝は目を開けた。
するとそこには先程まで悠輝を殺さんとするように腕を振り上げていた熊がそのままの姿で立っていた。それも、周りの木々と一緒に凍っていた。
「は?」
あまりに突然な状況の変化に戸惑い、間抜けな声をあげてしまった。
「怪我はない?」
という声と共に悠輝の後ろに女性が現れた。
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