届け

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このやり取りが始まったのは、いつからだっただろうか。 向かいの部屋に、同い年くらいの男の子がいることは知っていた。 でも、高校に入ってから引っ越して来た彼は、私とは学校が違うので、話したことはなかった。 そんなある日、私が窓を閉め忘れたまま出かけると、帰ったときに一枚の紙飛行機が落ちていた。 『窓開けたままにしてんじゃねえよ』 その時、向かいの窓も開いたままだった。 「人のこと言えないくせに…」 というか、向かいの窓が開いているのは、結構いつものことだったりする。 少しムカついたので私は、 『余計なお世話だ!』 と書いて投げ返しておいた。 それからというもの、私が窓を閉め忘れるたびに紙飛行機が飛んで来ていた。 そして、いつの間にか出かけるときは窓を開けて出て行くようになった。
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