届け

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それから数日たった日。 閉められた窓の向こうには何もなくなっていた。 引っ越しの車が離れていく音だけが聞こえる…。 私の部屋には、また、紙飛行機が残されていた。 いつもの汚い字で、たった一言。 『好きでした。』 私はため息をついて、机の上のメモに返事を書いた。 そして、その紙飛行機は届くはずもなく、閉められた窓にぶつかって落ちていった。 …鏡には、涙をながしながら頬を緩ませて、ため息をついている私が映っていた。
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