息る

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息る

手をかざして 透かす空 通り抜けた身体の中 風は鮮やかに色づいた 学校帰り 寄り道して 店のカウンターの端 目の前のコーヒーに 砂糖はいらない 苦い思いは もうたくさんした 目を閉じた まぶたの裏 数式だらけの あの歌 たやすいさ 歌うだけなら 並べた公式 当て嵌めてさ それなら 誰にだってできる でもね 僕らはこうして 泣いて 笑って 愛して 別々に息ているの いくら追い掛けても届かない 何を掴むかわからない それでも追い続ける 意味があるから 理由があるから 痛みだって 乗り越えて 憎さだって 乗り越えて 泣いて 笑って 今を生きて 向かい風を 背中に だからそこで俯いてないで 僕の手をとって 一緒にいこうよ 側にいるから  
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