プロローグ

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 増減を繰り返す人の波。移り行く顔。様々な表情。くるくると回る人の風景。  変わらずにはいられない。時も、風景も、そして人も。  この二人の関係もくるくる、くるくると回って行く。流れる時間の流れの中に跪き、流れに身を任せる以外、人にできることなどない。「これからどうなるか?」それは神のみぞ知る世界。人には触れられない。  それが運命と呼ばれる代物。彼と彼女もまた、それに拘束されながら前へと進む。流れる以上、前へと進む。  皐月は「あの時」を思い出していた。傾き続ける彼女の運命の天秤が、大きく、大きく揺らいだ、あの時を……。
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