1章 出会い。

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出会いは大学の学生食堂。 私は経済学部の一年生で学食でアルバイトをしていた。 彼は政治社会学部の三年生。社会人で夜間主コースの学生だった。 夕方からの授業に備えて、仕事帰りの彼が食堂に来る。 18歳の私にとって24歳の彼のスーツ姿は頼もしく、そしてカッコ良く見えた。 すごい体格のいい人だよね! 周りがそう言ったのは、彼が極真空手で日々鍛え上げていた体のせいだった。 スーツの上からでも、その隆々とした筋肉が分かる。 まず印象に残ったのは気持ちの良いほどの食べっぷり。 そしていかつい体に反した、笑うと目がなくなるところ、誰にでも優しく真面目に接することができるところ、いろいろな仕草をみつけるたび、私は彼に好感を持つようになっていた。 二十歳前の女子は年上に弱いんじゃないかな。 私はこれ以降彼のような人を苦手としたし、極真空手は大嫌い、ラグビーしている人も苦手になった。同じニオイがするものだ。 とにかく私の目には同級生や大学の先輩たちよりも、彼が魅力的にうつった。
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