第8章 上司の過去

5/28
49416人が本棚に入れています
本棚に追加
/496ページ
諦める事は簡単だけど簡単じゃない。 諦めたあとの虚しさは、自分を一番惨めにさせる。 本当は、もうそんな思いにはうんざり…。 でもきっと、これが私の運命…。 小さな幸せを大事にせず、降って湧いた大きな幸せに目が眩んだバツだ。 そう言い聞かせて、フラフラと自分のオフィスに戻った。 隣の販売部も今日はガランとしてる。 青木君達も、そろそろみんなと合流する時間。 今から打ち込みをして発注書を作ってたら、7時には間に合わない。もう今日は、行くのやめちゃおうかな…。 クリスマスなんて、どうでもいい。 普通に過ごせば普通に時間は過ぎる。 誕生日だってそんなにめでたくないし。 静かなオフィスで、パソコンを開いた。 キーボードを打ちたいのに、胸の鼓動が邪魔をする。 体だけは正直だ。 今まで何度も経験したこの胸の痛み…。 自分の気持ちを押し殺して、強がるたびに痛みは増す。 佐伯さん……。 佐伯さんと話したい…。 そう望む事が、痛み止めみたいなもの。 ただ、それだけ望ませてください…。。。 明日でいいから…佐伯さんの口から莉穂さんの事を聞きたい…。 そして私との事も…、考え直した方が佐伯さんの為になる。 困らせたくない。 煩わせたくない。
/496ページ

最初のコメントを投稿しよう!