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開けっ放しだったドアの前にいるのは、帰ったはずの佐伯さん。
動きが止まったままの私に近付いて来る。
「できたのかって聞いてるだろ」
私が発注書を作ってた事、川島さんに聞いたの?
「できました」
「あっそ。じゃ行くぞ」
行く…?
「どこに…ですか??」
目の前まで来た佐伯さんをジッと見つめた。
「いいから早く帰る支度をして来い!」
「はいっ…」
佐伯さんに低い声でそう言われ、急いでロッカーに向かった。
もしかして佐伯さん、私を迎えに来てくれた??
莉穂さんとはもう会ったの…?
今までどこにいたの?
気になって仕方ない。
ロッカーでコートを着てカバンを持って、エレベーターの前に立つ佐伯さんの元に走って戻った。
「……お前のせいで今日の計画が台なしだ」
そう言いながら下矢印のボタンを押す佐伯さん…。
「計画……?」
私が聞き返したら「そーお!」と言って、冷たい手で私の頬っぺたをブニブニ引っ張った。
いつもの佐伯さんだ……。
「痛ひへふっ」
言葉にならない。
でも“計画”って、今日は私と会う気でいてくれたって事……?
そう思ったら、胸がキュンと痛くなった。
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