第1章 上司と部下

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佐伯さんの説教が終わったのは、午前11時前。 もう、耳が痛い…。 佐伯さんが立ち上がり、ファイルを数冊持った。 「俺は次の会議に出るからお前はお茶汲みの手伝いに入れ。今日はお前は雑用係だっ」 雑用係っ?!…って、そこは驚かない。いつも雑用係だから。 でもお茶汲みの手伝い?! お茶汲みは秘書課の皆さんの仕事なのに、私が行っていいの? 「行くぞっ」 「はいっ…」 もぉ~嫌ぁ…。 佐伯さんに付いてエレベーターに乗り、10階の大会議室のドアの前に立った。 「あっ、川島っ」 川島……? 佐伯さんの視線の先に、廊下をこっちに向かって歩いてくる女の人がいた。 すっごく綺麗な人。 間違いなく、秘書課の人だ。 「佐伯君!佐伯君もココ?」 嬉しそうに駆け寄ってくる川島さん。 「あぁ」 「じゃあ佐伯君にだけ私がおいしいお茶入れてあげる!」 なっ、何このストレートな贔屓発言! 「サンキュー。課長にばれずにやれよ」 うわっ、佐伯さんって、こんな事を言っちゃう人なんだっ…。 「で、誰?この冴えない女の子」 冴えないっ?! 本人に言う?! でも図星だから何も言い返せない。 黙って頭を下げた。 「うちの問題児。ここでこき使ってやって」
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