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佐伯さんの説教が終わったのは、午前11時前。
もう、耳が痛い…。
佐伯さんが立ち上がり、ファイルを数冊持った。
「俺は次の会議に出るからお前はお茶汲みの手伝いに入れ。今日はお前は雑用係だっ」
雑用係っ?!…って、そこは驚かない。いつも雑用係だから。
でもお茶汲みの手伝い?!
お茶汲みは秘書課の皆さんの仕事なのに、私が行っていいの?
「行くぞっ」
「はいっ…」
もぉ~嫌ぁ…。
佐伯さんに付いてエレベーターに乗り、10階の大会議室のドアの前に立った。
「あっ、川島っ」
川島……?
佐伯さんの視線の先に、廊下をこっちに向かって歩いてくる女の人がいた。
すっごく綺麗な人。
間違いなく、秘書課の人だ。
「佐伯君!佐伯君もココ?」
嬉しそうに駆け寄ってくる川島さん。
「あぁ」
「じゃあ佐伯君にだけ私がおいしいお茶入れてあげる!」
なっ、何このストレートな贔屓発言!
「サンキュー。課長にばれずにやれよ」
うわっ、佐伯さんって、こんな事を言っちゃう人なんだっ…。
「で、誰?この冴えない女の子」
冴えないっ?!
本人に言う?!
でも図星だから何も言い返せない。
黙って頭を下げた。
「うちの問題児。ここでこき使ってやって」
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