第1章 上司と部下

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「私達、同期。大学の時の同級生なの」 やっぱり、そうだったんだ。 じゃあ川島さんも、28? 「あなたも佐伯君のファン?」 「えっ?違いますっ…!あんな説教ジ」 やば、思わず口が滑りそうになってしまった。 危ない、危ない。 「ならいいけど。佐伯君を本気で好きになっても無駄だからね」 無駄…? 「何で…ですか…?」 あたしの質問に、川島さんは含み笑いで返した。 「考えれば分かるでしょ」 考えれば?? 川島さんが給湯室の方に歩き出して、私も後ろから追いかけた。 何故、好きになっても無駄なのか。 う~ん…。 佐伯さんに告白→フラれる→理由→“好きな人がいるから″……かな? それとも、彼女? でも付き合ってる人はいないって聞いたけどな。 あんなイケメンなのに彼女がいない→女嫌い→実は同性愛者・・・・? だったりとか??? 俯きながら歩いていたら、ドンッと川島さんの背中にぶつかってしまった。 「ちょっとっ、前を見て歩きなさいっ…」 「すみませんっ…」 川島さん、怖っ…! 佐伯さんがいる時の態度とは大違い。 「とんだ問題児ねっ」 二重人格なのかな? 「ほら、行きなさい」 目の前は給湯室。 二人の女の人が中にいて、川島さんを見て頭を下げた。 「準備はできてる?」 「はい」 「じゃあ私は会長を迎えるからこの子をお願い」 川島さんが私の背中を押した。 「洗い物でもさせてればいいから」 洗い物なら任せて欲しい!洗い物で良かった! お茶をひっくり返したらそれこそ即クビだ。 ここで会議が終わるのを待っていよう。
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