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突然現れた″冴えない子″に、中にいた二人は驚きを隠せない様子。
「営業事務の…松田です…。今日だけここのお手伝いに……」
「松田さんね!よろしく」
そう言ってニコッと笑ってくれたのは、フワフワした茶色い髪の“柴田さん”。
もう一人は、おとなしい感じの“榊原さん”。
二人とも、川島さんよりも優しくて馴染みやすくて、あっという間に時間が過ぎた。
私はずっと給湯室にこもりっぱなしで、お湯を沸かしたり戻ってきた湯呑みを洗ったり、秘書課の仕事もいいなぁなんて、そんな事を思った。
「松田さん、お迎えよ」
お迎え??
柴田さんにそう言われ給湯室から顔を出すと・・・。
佐伯さんと川島さんが立っていた。
時計の針は、午後2時。
3時間もここにいたんだ。会議、長かったな…。
「戻るぞ」
「は~い…」
柴田さんが貸してくれたエプロンを外し、腕まくりをしていたブラウスを元に戻した。
うわぁ、しわくちゃだぁ……。
悲し…。
「ありがとうございました」
柴田さんと榊原さんに頭を下げたら、「またおいでね」と言ってくれた。
単純にそれが嬉しくて笑って返事をしたら、佐伯さんにファイルで頭を叩かれた。
「また来る時はお前を仕事から外した時だ」
そうなの?!
「じゃあ絶対来ませんっ!!」
柴田さん達がクスクスと笑った。
そして、横にいた川島さんにも頭を下げた。
「お世話になりました…」
「また来てね!」
来ないって言ってるのに、嫌味な人…!!
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