第1章 上司と部下

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突然現れた″冴えない子″に、中にいた二人は驚きを隠せない様子。 「営業事務の…松田です…。今日だけここのお手伝いに……」 「松田さんね!よろしく」 そう言ってニコッと笑ってくれたのは、フワフワした茶色い髪の“柴田さん”。 もう一人は、おとなしい感じの“榊原さん”。 二人とも、川島さんよりも優しくて馴染みやすくて、あっという間に時間が過ぎた。 私はずっと給湯室にこもりっぱなしで、お湯を沸かしたり戻ってきた湯呑みを洗ったり、秘書課の仕事もいいなぁなんて、そんな事を思った。 「松田さん、お迎えよ」 お迎え?? 柴田さんにそう言われ給湯室から顔を出すと・・・。 佐伯さんと川島さんが立っていた。 時計の針は、午後2時。 3時間もここにいたんだ。会議、長かったな…。 「戻るぞ」 「は~い…」 柴田さんが貸してくれたエプロンを外し、腕まくりをしていたブラウスを元に戻した。 うわぁ、しわくちゃだぁ……。 悲し…。 「ありがとうございました」 柴田さんと榊原さんに頭を下げたら、「またおいでね」と言ってくれた。 単純にそれが嬉しくて笑って返事をしたら、佐伯さんにファイルで頭を叩かれた。 「また来る時はお前を仕事から外した時だ」 そうなの?! 「じゃあ絶対来ませんっ!!」 柴田さん達がクスクスと笑った。 そして、横にいた川島さんにも頭を下げた。 「お世話になりました…」 「また来てね!」 来ないって言ってるのに、嫌味な人…!!
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