第2章 上司の優しさ

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*** 鳴りそうで鳴らないお腹。 お腹に力を入れたり抜いたりして、やっと一時間が過ぎた。今日は朝も昼も食べれなかった…。 「松田」 頭の上から聞こえる佐伯さんの声。 「はいっ…」 いつの間に私の席に?!足音も聞こえなかった。 「出るぞ。支度して駐車場に来い」 「えっ??」 佐伯さんの手には、取引先に渡す封筒が何枚もある。もしかして、今から取引先を回るの…?? そうだとしたら絶対に6時には戻って来れない。 しかも佐伯さん、鹿野さんに引き継ぎをしてるからそのまま直帰するっぽい。 支度って、私にも帰り支度をしろって事だよね。 どーしよ…青木君っ!! 「佐伯さんともデートなんてっ!」 隣で麻衣子がプンプン怒ってる。 「仕事だからっ!!」 急いでロッカーまで走って、荷物を持って会社の後ろにある駐車場に向かった。 営業車に乗って、誰かと携帯で話してる佐伯さん。 私に気付いて手招きをした。 佐伯さんと二人で取引先に行くのは2回目。 一回目は、あまり覚えてない。 入社してすぐで、取引先を覚えるのに必死だった。 今日は……とても気まずい…。きっとこの気持ちだけが二回目の印象として心に残るんだろうな…。
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