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鳴りそうで鳴らないお腹。
お腹に力を入れたり抜いたりして、やっと一時間が過ぎた。今日は朝も昼も食べれなかった…。
「松田」
頭の上から聞こえる佐伯さんの声。
「はいっ…」
いつの間に私の席に?!足音も聞こえなかった。
「出るぞ。支度して駐車場に来い」
「えっ??」
佐伯さんの手には、取引先に渡す封筒が何枚もある。もしかして、今から取引先を回るの…??
そうだとしたら絶対に6時には戻って来れない。
しかも佐伯さん、鹿野さんに引き継ぎをしてるからそのまま直帰するっぽい。
支度って、私にも帰り支度をしろって事だよね。
どーしよ…青木君っ!!
「佐伯さんともデートなんてっ!」
隣で麻衣子がプンプン怒ってる。
「仕事だからっ!!」
急いでロッカーまで走って、荷物を持って会社の後ろにある駐車場に向かった。
営業車に乗って、誰かと携帯で話してる佐伯さん。
私に気付いて手招きをした。
佐伯さんと二人で取引先に行くのは2回目。
一回目は、あまり覚えてない。
入社してすぐで、取引先を覚えるのに必死だった。
今日は……とても気まずい…。きっとこの気持ちだけが二回目の印象として心に残るんだろうな…。
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