第2章 上司の優しさ

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オレンジ色をした太陽が、病棟の窓に反射している…。 少し冷たくなった風…。今が秋でよかった…。 もし蝉の泣き声が聞こえてたら、 私はきっと、もっと父の事を思い出してた…。 心の中に封印している、父との最後の会話も。 「松田…、時間がない。次行くぞ」 気付いたら佐伯さんが目の前にいて、私を心配そうな表情で見ていた。 「あっ、すみませんっ、ボーッとしちゃいましたっ」 「…ったく。今日は一日中もぬけの殻だな」 「…すみません」 だからここには来たくなかったんだ。 何年経っても父親への思いは色褪せない。 忘れてしまいたい過去なのに。 たぶん、 どれだけ時間が経っても、“忘れたい”と思ってるうちは忘れられないんだろうな……。 「松田ーっ、じゃあなーっ!」 じゃあな?! 佐伯さんが見えなくなる。 置いて行かれてしまった。 あの親子にこの感情を捧げ、父親を胸に封印する。 今は佐伯さんの背中だけを見て前に進むのみ! 「待ってくださいっ……!!」 即戦力を捨てないで!
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