第2章 上司の優しさ

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佐伯さんが怒ってないと分かったら気が楽になった。 「本っ当に奢りですか??」 ラッキーだと思って、お言葉に甘えてしまおう。 そう聞く私に佐伯さんは自分のメニューを見ながら頷いた。 「足りなかったらお前が体で払ってけ」 「え?!」 「バーカ、嘘に決まってんだろ。早く決めろっ」 「はいっ!」 一瞬にしていつもの佐伯さんに戻ってしまった。 でも何だか楽しい……。 「俺、肉のコースにしよ」 「私もお肉がいいですっ!」 「お前さ~女ならかわいくパスタとかリゾットとかそっち系じゃねーの?」 「だって…今日はお肉モードですもん」 「何だそのモード。本当にお前って変な奴だな」 グチグチ言いながらも結局佐伯さんは同じ物を二つ頼んでくれて、私も満足顔でメニューを店員さんに返した。 すぐにサラダやスープが運ばれてきて、手を合わせた。 「いただきますっ」 幸せ~!!!! 「旨そうに食うなぁ~。転職してグルメリポーターにでもなったらどうだ」 私の食べっぷりに引いている様子…。 「嫌ですっ!!佐伯さんこそサラリーマンより教師になればよかったのに」 「はぁ?何で俺が教師なんだよ」 “説教好き”だから……! 何も答えない私を、佐伯さんは怪訝そうに見てる。 「いい意味じゃねーだろ?おい、コラ」 またまた笑えてくる。 突然降って湧いた楽しい時間…。 佐伯さんがいつもより優しくて、 それにも何だか幸せを感じた。 小さな小さな、幸せ。 どんなに小さな幸せでも、 私はそれを、一つ一つ大切にする。 それは私が一人になってから、ずっとずっとしてきた事。 後悔したくないから。 後悔しない為に。
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