第2章 上司の優しさ

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「家まで送ってやるよ」 車に乗り込んですぐ、佐伯さんがそう言ってくれた。 もう少し佐伯さんと一緒にいられる…。 そんな事を思ってしまう私、完全に佐伯ワールドに引き込まれている? 「…お願いします」 そういえば佐伯さんて、いつも電車通勤なのかな? 初めて今日、同じ電車になったよね。 「佐伯さんて…いつも電車ですか?」 「いつもは自分の車だけど。昨日から人に貸してるから今日はたまたま…。お前はいつもあんな満員の電車に乗ってんのか?」 今朝の事を思い出したのかな…。 「今日は寝坊してしまって…。いつもはもう一本早い電車です。満員なのは変わらないですね…」 「…ふ~ん。電車通勤も大変だな」 いいなぁ、佐伯さんは車通勤で。 私も一応免許はあるから運転はできるけど、車がない。こんな都会を運転する勇気も無い。 いつかこの営業車を私が運転する日は来るのかな。 その時は、助手席には佐伯さんに乗ってもらいたいな。 って、私は佐伯さんの虜か!しっかりしろ、自分! “好きになっても無駄” 川島さんの言葉が頭をよぎる。 こんなに素敵な人だからやっぱり…“彼女”がいるのかも…。 もし本当にいるなら、佐伯さんに大切にされてる“彼女”は幸せ者だね。
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