第2章 上司の優しさ

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-次の日。 目覚まし時計が鳴る前に目が覚めた。 ダメだ…。 夢に昨日の優しい佐伯さんが出てきた。 夢なのに余韻が強烈で、胸の痛みが現実と交差してしまう。 忘れなきゃ…。 鏡の前に座って、頬を両手でパチンと叩いた。 夢だったんだよ、全部。 昨日の事も全て、夢だった。 佐伯ワールドという夢の国にちょっとお邪魔しただけ。 そういえば…。鏡に映るすっぴんの自分。 “お前のスッピンは公害を撒き散らしてるのと一緒” 昨日の朝、そう言われたっけ…。 失礼な鬼上司! 打倒!鬼上司! 毎日頑張って綺麗になって、そんな言葉を言った事を後悔させてやる!! ………そう意気込んで出社したものの、今日は佐伯さんの視界に全く入れてもらえない。 全く。 昨日普通に別れましたよね?何か怒ってる訳ではないですよね? 何故か私の存在を消してしまったようだ。 だったら、外見で見返すんじゃなくて、仕事で見返してやる!!! とか思いながら、本音はこう。 仕事がデキる女ならほんの少しくらい私に興味を持ってくれるかなぁ……って。 佐伯さんが気になる…。 もっと知りたい……。 みんなが知らない佐伯さんの顔を、もっとたくさん見たい。 その為には、まず自分を認めてもらわなくちゃダメだよね………。 私にできる事。 今は仕事を頑張る!! それのみっ…!! だから私を視界に入れて下さい!!
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