第3章 上司に片思い

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私を長年面倒見てくれた親戚の家に呼ばれてるんだ……。 渡したい物があるから取りに来いって。 何だろう…。 今日だけは残業を断って定時で会社を出た。 鹿野さんには睨まれたけど、仕方がない。 鹿野さんより叔母のほうが怖いから。 会社から親戚の家までは、電車を乗り継いで2時間もかかった。 約9ヶ月ぶりに通った駅の改札口。 歩き慣れた商店街を抜けたら、静かな田んぼ道。 寒くて寒くて、吐く息も白い。 帰りはどうやって帰ろうか…。 きっと誰も私を送ってくれないだろう。 まだ親戚の家に着いてないのに、もう帰る事を考えてる。 とにかく早く用事を済ませたい。 田んぼ道を抜けた先に建ち並ぶ一軒家。 何故か、親戚の家は明かりがついてなかった……。 叔母さん、今日って言ったよね…? ゆっくりゆっくりガレージに近付いて、中を見てみた。 車が無い。 留守だ…。 ふと、庭先に置いてある紙袋が目に入った。 貼紙がしてある…。 携帯の光をあててそれを読んだ。 ----------- 藍子のもの。 持って帰って。 ----------- 私の物…? 何か置いて来た? 決別するつもりでこの家を出たから、何も置きっぱなしにはしていないはず。 恐る恐る中身を見てみた………。 .
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