第3章 上司に片思い

4/12
49529人が本棚に入れています
本棚に追加
/496ページ
「アル………バム…?」 紙袋の中に入っていたのは、 古い…アルバムだった。 震える手で開いてみると中には小さい頃の私の写真がいっぱい貼られていて………。 父親が笑ってる写真もあった…。 貴重な、母親の写真も……。 こんな大切な物を冬空の軒下に置いて出かけた叔母が、とても憎く思えた。 叔母にとってはどうでも良い物かもしれないけど、私にとっては宝物だ。 このアルバムの存在すら知らなかった。 どうして今頃返してくれるの? 涙がジワジワ込み上げてくる。 アルバムを閉じた。 帰ろう……。 もう二度と、ここには来ない…。 この家には辛い思い出しかない……。 涙を拭いて立ち上がった。 “もっと強くなりたい…” ここで生活をしてる時、常に思ってた…。 強くなるには、泣かない事。 それが私の決め事。 泣かない。 泣かない。 泣かない。 悔しい気持ちでいっぱいの帰り道。 ………お父さん また会いたくなってしまったよ。 会いたいよ…………。 今、すごく………、 会いたい………。 白い息が空まで届きそう。 .
/496ページ

最初のコメントを投稿しよう!