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佐伯さんが車を停めたのは、国道沿いの大きなマンションの駐車場。
ここって………。
マンションを見上げる私に佐伯さんが言った。
「別にお前を連れ込む訳じゃないから。近くに遅くまでやってる居酒屋があるからそこに行く」
そうだよね…。
私なんかが佐伯さんの部屋に入れるはずがない。
佐伯さん曰く、私は男に興味を持たれない女だし。
それにしても立派なマンション。
私と佐伯さんの給料って、どのくらい違うんだろ?
私もいつかこんなマンションに住んでみたい。
車を降りて、また佐伯さんの後ろを付いて歩いた。
国道沿いとはいえ、こんな時間だし人通りは全然ない。
佐伯さんが私を振り返った。
「あのさー、俺の隣を歩くのがそんなに嫌なの?」
「え?そっそんな訳ではっ」
こんな私なんかが佐伯さんと同等に歩くなんて気が引けてしまうのです…。
「後ろだと心配だから前を歩け」
「だって…道がわかりません」
「あ、そうか」
こんな状況なのに、吹き出してしまいそうな自分に喝を入れた。
「じゃあ横しかない」
そう言って、グイッと腕を掴まれて佐伯さんの横に立った。
こういうのにも乙女心が疼いてしまうんだよ、佐伯さんっ。
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