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空が紅く染まった秋の終わり頃の夕暮れ。
僕は大きな虫加護を右脇に抱え、息を荒らして空き地に入り、さらに草むらに駆け寄る。
僕は迷いなく手でその草を掻き分ける。
「えっと、ここらへんのはずだけど…。あっ…」
見つけたのは白い蛇。体中に小さく全長20センチにも満たないだろう、紅色の傷をたくさんつけた白い蛇だった。
その蛇は、相当弱っている様で、時折体をくねらせるのみ。
「急がなきゃ」
その蛇を手に持つとびくりと震えるが、まるで身を委ねる様に大人しくなる。
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