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2011年3月の末日。
私、この小説の作者こと落城 司 (らくじょう つかさ)は春休みだというのに学校に来ています。
部活というわけではなく、補習というわけでもない。
なら何故俺は学校にいるのか。
それには海よりも深く、山より高い理由があった。
~《前日》~
先 「明日、新入生と話してきて」
落 「先生、話がまるで見えないのですが」
――昨日、終礼が終わった後俺は先生に呼び出された。明日から春休みだと気分が高揚しているときに意味不明な頼まれごとをされた俺は色んな意味で嫌な汗をかいた。
先 「新入生にあなた達が学校生活のこととか、模試や学校行事のことを説明するって話」
落 「発表とかそんな感じですか?」
先 「いいえ、まぁ明日行けば解るよ」
俺は今知りたい。つかそもそもそんなことに参加したくない。
落 「先生、僕が参加するのは決定事項ですか?」
先 「勿論」
無理だった。だが俺は本当はわかっていた。俺がこのような行事に参加しなければならない理由も、なぜ俺が選ばれたのかも………
先 「だってあなたは――」
なにしろ俺は―――
先 「このクラスの級長なんだから」
3月31日までこのクラスの級長をやっていなければならないから
先 「まぁ頑張ってね」
落 「はい」
そう言うしかなかった。俺は職務を全うするしかない。学校のために、新しい後輩のために。
先 「あっ!」
話を済ませて俺より先に教室を出ようとした先生が何かを思い出したような声をあげた。
落 「どうしたんですか?」
先 「明日の新入生との交流会ね――」
明日の交流会?とりあえず新入生と話しをするのはさっき聞いたけど………他にも何かあるのだろうか?
先 「襲くんも来るで」
先生が口に出したとある男子生徒の名前を聞いた瞬間、俺の視界は絶望色に……染まった。
☆
落 「よりによってなんでアイツと……」
だけど妥当ちゃ妥当だ。
襲は一応、品行方正な生徒だ。学力的に見ても申し分ない。
………けど、どうもアイツはなぁ。
色々破綻しかけてるしなぁ………
落 「つかアイツ本当に来るんかなぁ?」
昨日電話したときはサボるとかほざいてたけど、本当に来なかったらどうしてくれよう。
アイツだけ助かるのは納得いかん。
俺は制服のポケットから携帯を取り出して電話帳から『襲 巧』の項にある番号をプッシュした。
Prrrrrrr
Prrrrrrr
ガチャ
落 「お………」
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