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夏休み最終日。
シャカシャカシャカシャカ……。
俺達は家に皆で集まって、ケーキの試作品を作っていた。
「あのさ……何で俺達必死にケーキ?作りやってるんだ?」
「は?何言ってんの!?文化祭の喫茶店で使う試作品のケーキを作ってるんでしょ!この前の登校日にクラスの皆で決めたじゃない」
銀色のボールの中で、赤いクリームをかき混ぜながら、時美が呆れた表情で言ってくる。
「いや、俺が聞きたいのは何で‘普通’のケーキを作らないんだって事なんだけど」
「まったくですわ」(ボソボサ)
俺の‘普通’と言う言葉に小さく呟く優里架さん……今は隣で俺と一緒にケーキとは別に作っているクッキーの生地を伸ばしている。
「深壱……クッキーの型……持ってきた」
ダンボールを両手に抱えて、希理が近づいてくる。
「あ……ありがとう希理」
俺は希理からダンボールを受け取ると、片手で持ち直し、空いた左手で反射的に頭を軽く撫でてしまう。
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