それが地獄と気付くまで

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 俺は眼前に立つ黒髪の少女の猛者振りを、少し離れたところから見守っていた。  と言っても、こちらも只今戦闘中真っ盛り。何人かに囲まれ、火球だの水弾だの雷撃だのに頭を悩まされていた。  それでも。  あの少女ほどのピンチではない。  俺は頭を掻く。 「なんだ此奴!? 攻撃があたらねぇ!?」  やがて俺の周りの連中が騒ぐが、特に気に留めなかった。  だって。  、、、、、、、、、、、、  視界に入れなければ、第三者から俺に対しての干渉はできないから。  俺が認識しない限り。  俺が見ない限り。  俺が感情を向けない限り。  絶対に俺には触れられない。  それが俺の能力だった。戦闘にはほとんど役に立たない、非戦闘能力。 不覚拒絶【シャットアウト】  ただ、一度でも視界に入れると、その者からの干渉は常にオンとなってしまう。  だから俺は、ぼんやりと相棒の姿を見つめていた。  何十人もの能力者に囲まれてもなお、暴れ回り、蹂躙跋扈する彼女の姿を。
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