それが地獄と気付くまで

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   数週間前までは、俺たちはただの高校生だった。ある日、レッドスキルの何者かに俺の一家が襲撃されたのを機に、すべての歯車が狂ってしまった。  俺は家族を全員殺され、その場にいたチヅルも、また同じように殺されそうになった。  それを阻止するために、俺は「いくつかの」能力を発現させた。  不覚拒絶【シャットアウト】がその時に発言していたのかどうかわからない。  俺はチヅルに手をかけようとするレッドスキルの襲撃者の不意を打ち、重傷を負わせ、逃走。  それから一週間、ほとんど休む間もなく戦闘になった。  多勢に無勢。何より能力を発現させたばかりの俺では複数の能力者を相手取るのは難しく、そして肉体的な疲労と、家族を殺された精神的ダメージが大きく、次第に追い詰められていった。  もうダメだと思った時だった。チヅルの能力が発言したのは。  元々、素養はあった。俺もチヅルも幼いころからそういう教育を受けて育ち、いきなり能力が発言してもコントロールできるように訓練を積んでいた。  それが幸いしたのだろうか、チヅルが発言した能力は、扱えさえすれば、ほぼ最強の部類のものだった。  ただ身体強化系の能力は弱点も多い。例えばテレポートなどの強力な能力を相手取るのは難しい。  幸いだったのは俺がその弱点を補うような能力を、いくつか持っていたことだった。
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