入団試験【面接】

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「暖かくてとても気持ちが良いです」  道中、俺は思わず立ち止まり今日の気候に対する感想を述べてしまった。  大きな声で言ったつもりはないがやはり一部の通行人の耳には入ってしまったようで、訝しげな表情をこちらに向けてきた。  俺は恥ずかしさで赤面したが後悔はしていない。なぜなら、今日の気候は思わず感想を述べてしまっても仕方がないくらい最適なものだったからである。  暖かな太陽光、緩やかな春風、舞い散る桜、どれをとっても一級品。 …ここまで気候に執着する俺を見て気付いた人もいるだろうが、何を隠そう俺は気候フェチだ。  嘘だ。  無駄な脳内ワールドを展開している間にも俺の足は進み、気付けば人通りの多いメインストリートに出ていた。  閑静なカボーナさん家近辺の住宅街とは違い様々なところで人々の喧騒が飛び交っている、要するにうるさい。  魔法関連の店以外にも、本屋、雑貨屋、美容院他様々な施設が所狭しと並んでいるアルテナのメインストリート、人が集まるのも無理はないがやはりこの盛り上がりっぷりは異常だ。  アンタら祭でもやってんのかと。  だが、何だかんだで今の俺にはこの賑やかさが助けになってくれちゃったりしている。緊張を紛らわしてくれるからな。
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