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しばしの沈黙。
主張を終えた俺はちょっぴり後悔していた。
なぜなら、将来上司になるかもしれない警団員に生意気な口をきいてしまったからだ。そして何よりも先程の自分の熱血すぎる態度、クサすぎる意見……ああ、これじゃさっきのドヤ顔眼鏡野郎とさほど変わらないじゃないか。くそ、穴があったら即座に滑り込みたい気分だ。
恥ずかしさで蛇の如くウネウネと悶えていると、ふいにキルノさんが口を開く。その表情はどこか垢抜けていた。
「…もう20年近く警団にいますが、こんなにも有意義な面接は久々でした。皆さん、楽しいひと時をありがとう」
続けてもう一方の面接官も口を開いた。
「一人クッサい奴もいましたがね。まあなかなかでしたよ」
やはりクサかったようだが、どうやら思いはちゃんと伝わったみたいだ。
……いや待てそれよりキルノさん今何て言った。20年働いている? これはおかしい。見た感じせいぜい20代半ばくらいだと思っていたが、俺と同じ20から働き始めたと仮定しても既に40歳という計算になる。嘘だろ?
俺が頭を抱えている傍ら、今後の動き方についての話が進んでいた。説明をしているのはキルノさん。
「これにて面接は終了です。
そして、皆さんにはこれから再度エントランスに向かってもらいます。そこで次の試験についての詳しい説明をしてくれるはずですから」
するともう一方の面接官が慌てて補足した。
「おっと忘れるとこだった。みんなエントランスに向かう前に履歴書とウィンプスの査定書を提出してくれ」
それを聞いた俺を含む四人は一斉に自分の荷物をあさりだし提示された書類を発掘した。
そして全員分の書類が出揃ったのを確認したキルノさんはこう言った。
「次は警団員としてのあなた方と会えるのを楽しみにしています。…では解散してください」
その言葉を合図に俺達四人は立ち上がり、エントランスに向かい歩を進め始めた。
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