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サユの表情で、心が温かくなる。
サユは、つまらない俺の話も、楽しそうに聞く。
不思議な少女だ。
14歳の女子なら、普通、今時の芸能人とか流行とか、そういうのが好きなのに。
「シューは誕生日いつ?」
「三月三十日だよ」
俺が答えると、サユはあからさまにびっくりして、大きな瞳を、さらに大きくした。
「…あたしと一緒だ」
ニッコリ笑って、俺の手を握る。
「すごいね!一緒だって!!奇跡みたいだねっ!」
『すごい』と連呼するサユ。
はしゃぎかたは、子供並だ。
「うんうん。すごいすごい」
俺がそっけなく答えると、サユは
「ホントにそう思ってる!?」
と不足そうな顔をした。
サユは雅美みたく、特別美人なわけではないが、明るさが可愛くて、なにかツボにはまる。
「シューは高三だよね?」
「うん。サユは中二?」
問い掛けると、サユはちょっとふてくされた顔をして、俺を見た。
「一応中三ですーっ」
サユは顔を背ける。
そんなすねることか?
一年しか変わらんねーだろ、と言ってやろうと思ったが、やめた。
「サユは、ちっせーもんな」
ヨシヨシ、と小さい子供にするみたいに、頭を撫でる。
からかうと可愛い。
ツンと口を尖らせて、リンゴのように頬を赤くする。
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