第二章∮秘密

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「う~るさいっ!」 サユの透き通るように真っ白な腕が、俺の腕を掴んだ。 優しく笑いかけようとした、その刹那、 …サユはガクンと、足からくずれおちた。 「え…」 倒れかけたサユの体を、ギリギリで受け止めた。 目を閉じている。 息はしていた。 でも、俺を掴んだ白い腕が、氷のように冷たくて、怖かった。 突然、死んだみたいに。 どうしよう…サユがっ!! 急に焦りが生じた。 「サユっ…!しっかりしろ!!」 俺は急いでサユを抱き抱え、屋上を出て、父さんのいる理事室へ向かった。 「父さんっ!」 バタン、と音を立てて開いたドアの音が理事室に響く。 「なんだ、衆介。また来てたのか」 「それより、サユが…紗雪が急に倒れたんだ…!!」 父さんは、サユの頬や額を触った。 「落ち着け。いつものことだから、心配することはない」 そう言って父さんは、サユを抱え上げて、サユの部屋まで運んだ。 ベットへ寝かせると、「注射をとってくる」と、部屋を出ていった。 あっさりとした父さんの口調。テキパキとした対応。 全然慌てていない。 これがプロの余裕? サユが倒れても、なにも出来ない自分に、腹ただしさが芽生えた。 「…シュー」 かすかにサユの声がした。
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